院長のコラム第83回 新野球コミュニケーションズ雑感
名越、島村先生が世話する新野球コミュニケーションズ研究会に参加しました。目的は、スポーツ選手の食事の講演を聴きたいと思ったからでした。内容は、基本的なものでしたが、①三食をきっちりと食べる。欠食はしない ②バランスよく食べる。エネルギーを生み出すには単一の栄養素だけではだめで、ビタミンなどが大切である ③睡眠は夜10時からー朝2時頃が、成長ホルモンの分泌が良い などで、改めて「当たり前」の大切さを再確認でき、有意義な時間を過ごしました。
研究発表の時、ある方が「野球で、軸、軸と言われるが、軸ってなにですか?軸がぶれるって何ですか?」と質問されました。「軸?」改めて問われてみると、視感覚的なもので、とっさに説明が出てきません。
「軸」について、今までの経験・感覚を整理してみたいと思います。
軸と言われて、すぐ思いついたのは「独楽の軸」です。良い独楽は、高速で回転し始めると、軸が直立し安定します。この形が最も効率よく、力強くもあります。
次に思いついたのがゴルフのスイングです。プロのスイングと素人のスイングを頭に描けば一目瞭然、プロのスイングは回転に入ってからは頭が動きません。それが、滑らかなスウィング・大きなフォローに通じます。安定と力が発揮できるのだと思います。野球のバッテイングスイングも同じイメージです。過日マツダスタジアムで、阪神・広島の選手の試合前バッテング練習を観る機会がありました。好打者はこの軸が崩れないなーと感心したことを思い出します。試合になれば、投手はこの軸を崩そうとしますから、練習の積み重ねで克服してゆかなければならないのだと思います。ここまでの軸はもし計測機械で測定すれば、多分一軸に近く、数値・グラフ・立体図が出るような気がします。
さて、投手の投球軸?です。投球は、ねじり・屈伸などの要素があり、多軸?と想定できますが今まで述べてきた軸のイメージとは異なり、計測データでは証明困難と思います。
投球(物を投げる)を考えてみます。静的なダーツから、助走をつけてできるだけ遠くになげる槍投げまであります。野球投手の投球はこの中間にあると考えています。正確さと、力強さが要求されるのです。ダーツ(静的)様であれば、体軸は崩れず正確ですが、強い球は投げることができません。自分の体力を超える無理をして強い球を投げようとすれば体軸(フォーム)が崩れ、正確さが失われてゆきます。私自身は経験・視感覚で判断をしているように思います。投球の際に、身体が流れない、頭・顔を振らない(帽子が飛ばない)、滑らかな腕の振りなどを基準に、「すっと入り、ピシッとなげる」というイメージです。「軸を崩さず、すっと入り、ピシッと投げる」と私が認識しているプロ現役野球投手は、巨人・菅野、全盛期の西武・涌井をあげます。
<夢>
私が「すっと入り、ピシッとなげる」と考える投手を集めて、スポーツ科学の先生方が、投球解析をしてくれたらなー(へぼな投手を集めて解析しても役に立ちません)