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コラム

院長のコラム第22回 テッポウムシ退治ー外科的治療

皆さん!この写真、何をしているように見えますか? 写真は私ですが、庭で昼寝をしているのではありません。テッポウムシを退治するために、もみじの樹にノミで開窓術をしている所です。

8月初旬、我が家の会話
「お父さん、またテッポウムシがもみじに来とる」 
「わかった、またやっとく」

テッポウムシはカミキリムシの幼虫で、樹木を枯木にしてしまう、恐ろしい虫です。

数年前、我が家のリンゴの樹にテッポウムシが入りました。友人K君に相談しました。彼は、内科医師ですが、多能な人で、園芸もプロです。
「花川、Xという薬がある。それを使ってみー。しかし、なかなか、効かん。儂も、2本リンゴの樹をやられた」
プロのK先生が処置しても、やられるのに、素人の私では、と思いつつXを、茶褐色のおがくずが出ている穴から、注入して、経過をみました。明朝、やはりおがくずがでています。また注入する。次の朝、見る、やはりおがくずがでていて、Xの効果なし。このままでは、家内の大事なリンゴの樹が枯れてしまいます。その時です。「まてよ、薬が虫まで届かないのなら、開窓し、直接テッポウムシを退治してやればよい」と閃きました。

骨髄炎の治療について、お話しします。骨髄炎は、骨に細菌が侵入し感染を起こします。高熱、局所の熱感、疼痛が強く、抗生剤が投与(内科的治療)されます。これだけでは不十分の症例も多く、皮膚を切開し、膿の溜まっている場所の骨に窓をあけ(開窓術)そこから、膿を掻き出し、汚染骨・腐骨を取り除き、正常な骨が露出するまで摘除するのです。こうすることで、汚染の拡大を防ぎ、抗生剤の効果を高め、治癒を促進するのです(外科的治療)。

決断するとすぐ、ホームセンターに行き、ノミを購入しました。ノミ刃 3種類セットを買い求めました。おがくずの出ている穴をたよりに、ノミで削り開窓して行き、深部に達します。直接テッポウムシを見たことはありませんが、おがくずのあるところはすべて、摘除します。その後に、鉄砲虫がいるぞと思われるところを錐でさしまくり、最後に殺虫剤をたっぷり吹きかけます。この方法で、今までリンゴの樹3回、もみじの樹3回 すべて、テッポウムシを駆除することに成功しました。

<追伸1>
先日のNHK朝のニュース。ミカンの樹にテッポウムシがついて、枯れるので、カミキリムシに一匹30円の賞金を懸け、子供達が虫をとる話が放送されていました。
私の方法も一考の余地ありと思いました。

<追伸2>
家内のつぶやき「おとーさん、嬉しそうにノミを使うねー」
(私のつぶやき:私は、手術をしなくなった整形外科医です)

発見時(以前の場所の奥)

開窓・処置後(駆除成功)