院長のコラム第10回 縁
岡山西大寺病院に赴任して、まず西大寺観音院にお参りしました。ご本尊さまは、千手観音、“オンバザラタマラキリクソワカ”の御真言を唱え、病院の安寧と、家族の健康を祈願しました。
45年ぶりの境内です。記憶していたよりも、少し狭い印象でした。それ以後、毎月一回参拝しています。
45年前、会陽に参加しました。大学2年生の時、柔道部のA君に誘われ、まわし姿で、境内に入り小さな池で、まず身を清めたように思います。私は野球部で、胸囲、ヒップ周りは1mを超えていて、ある程度身体には自信がありました。しかし、境内を見回すと、ほとんど私よりもごつく、一緒にいっていた柔道部のA君が普通ぐらいでした。筋骨隆々の人ばかりで、私などは貧弱な方です。裸の群れの中に入り、どんな声だったか忘れましたが、叫び続けたように思います。今、3つのことを思い出します。一つは、宣伝写真でも見るように、裸の群れが皆手を挙げていることです。手を下げると、次第に身体が下に、下に沈み込んでいってしまうのです。あわてて、手を挙げました。恐ろしいと思いました。2つ目は、皆が“水、水”と叫んでいました。裸と裸、皮膚と皮膚が擦れ合うと、摩擦が起き、熱を持ち、皮膚が剥け,痛いのです。水が掛かると水蒸気があがり、皮膚が滑らかになり、灼熱感もとれ、気持ちが落ち着きます。3つ目は、これは恐ろしかった。宝木が投げ入れられる本堂の床に入って、天井を見たら沢山の人たちが、柱にへばりつくように待機しています。宝木が投げ入れた瞬間、宝木の所に上から飛び込み、獲得するためだそうです。投げ入れの時間が近付くと、宝木を本格的に獲得しようと狙っている人たちは、本堂に集まってくるので、私たちのようなものは次第に外へ押し出されました。宝木が投げ入れられる直前?直後?にライトが消され、投げ入れられた後の獲得の壮絶さに圧倒されたのを鮮明に覚えています。
西大寺会陽は、今年で504回目の歴史ある日本の3大奇祭です。今年は約9000人の裸が集まりました。
46年ぶりに、来年は外から楽しみたいと思います。
<追伸>
これは昔の会陽で、現在は安全に運営されています。皆さんもぜひ、西大寺会陽を見に来てください。来年は、2月15日(土)夜です。