院長のコラム第135回 鉄は熱いうちに打て
鉄は熱いうちに打て
今回も、阪神・村上様です。6月13日オリックス山本投手との投手戦は見事でした。
頓宮選手への、外角ストレート・見逃し三振はすばらしい。
と、言うより、あのストレートこそ、私が、このコラムで取り上げてきた『良質のストレート』です。
投球の基本であり、故野村監督の言う『困ったときの外角低めのストレート』につながります。
このストレートを基本に投球を組み立てる投手が少なくなっていましたが、山本(現在プロ野球 NO1の投手です)Vs村上の投手戦を観ていると、私は大満足でした。
ストレートの投球に占める比率ではなく、『ストレートが基本』という、心の持ち方だと思います。
このストレートを『自分のものとする』には、イチローが言った『全力の中で形を作る』(第120回、第131回コラム)しかないと思っています。
私が『良質のストレート』で驚いた経験をお話しします。
それは、若き阪神のエース・江夏投手の岡山県営球場・ブルペンでの投球を、後から見る機会がありました。
彼はカーブとストレート2種類だけ、で大投手となりました。
ストレートの練習を、内角、外角と正確に投げ分けていました。
観察していると外角に投げるとき、内角に投げるとき、骨盤の方向がわずかに違い、一定なのです。
踏み出す脚の着地部分が微妙に違うのかもしれません。
手投げでコントロールするのでなく、彼の言う『腹で投げる』すなわち、体全体で方向が決まっていたのでした。
『さすが』と思いました。
投げ込んで、投げ込んで【体で覚えた技術】だと思いました。
現在は科学的データから、練習でも投球数制限が言われる時代です。
が、花川の私見をあえて言わしていただけば、若き日に徹底的に鍛え、この【体で覚えた技術】を身につけねばならぬと思っています。
『鉄は熱いうちに打て』です。